救急科の働き方について
東部医療センターは他に先駆けて病院全体で働き方改革に取り組んでいます。救急科では週休2日、時間外勤務80時間/月(960時間/年)以下が達成できています。勤務を組む際にはスタッフの体調や家庭の都合に合わせ、それぞれが無理なく勤務を継続できることを優先して考えています。個別面談を適宜行い、体力やライフイベントで勤務に不安を感じる場合には、日勤だけ、週3日など柔軟な働き方を提案しています。
救急科の仕事は「足し算+かけ算」です。決められた仕事を限られたスタッフが無理をしてこなすのではなく、一人一人ができることを「足し算」して業務の範囲を決めてきました。その結果、現在は救急科が不在の日もありますが、他の診療科とカバーし合いながら救命救急センターを運営しています。
スタッフが無理なく働くことでワーク・ライフバランスが整い、お互いに心のゆとりが生まれて心理的安全性の高い職場になりました。これからは業務の効率化をさらに推進し、お互いが協力して時間のゆとりを作ろうとしています。心と時間にゆとりをもって仕事に向かうことで研究や教育もさらに充実していく、これが救急科の「かけ算」です。
名古屋の救急を担いたい方、救急の仕事に魅力を感じながら勤務に不安を感じる方もぜひ、東部医療センターの救急科をお訪ねください。一人一人のワーク・ライフバランスを一緒に考えましょう。
センター長より
私にとっての救急医学・救急医療とは
医学と医療の違いを聞かれるときに、私は「医学は科学、医療は医学+社会学」と説明しています。医学は科学的な思考を必要としますので、医学部は理系にあり6年間の多くが科学的な教育に充てられています。一方、医療は医学を患者さんに応用することですが、それには科学的思考だけでなく、患者さんがおかれた環境や患者さんの思いに心を配る必要があります。救急の場合は社会的弱者や事件・事故・災害の傷病者に対応しますが、ここでは医学だけでは太刀打ちできない困難な場面が多くあります。
このような場面に心を落ち着けて向き合うために、私は数年前から剣道を習い始めました。剣道には「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」という理念があります。これに倣うと「救急医療は救急医学の修錬による人間形成の道である」と言えるかもしれません。急な病気やケガで困っている患者さんを救うには「どうしたら患者さんを救えるか」を考え抜く力とともに、困難な状況に自分自身が向き合う覚悟とそれを受け入れる寛容さが必要です。日々、一生、学びの連続ですね。